biboudouのブログ

書籍・音源備忘録 最終的にはそれぞれに索引・クレジットまで作成予定

2007年 橋本治『小林秀雄の恵み』 新潮社

2004年から2006年に断続的に雑誌『新潮』に掲載されたものに最終章を書下ろしで追加。

「物のあはれを知る必要」を幾重にも重ねて説く『本居宣長』の解釈を中心におき、その結果、「”自分の中で感情が動いている”と実感すること」で「もう一度、学問というものをちゃんとやってみようかな」と思わせてくれたのが、橋本治にとっての小林秀雄の恵みであり、「物のあはれを知る必要を理解する必要」を説き続け、そのゴールは読者次第で様々に変わりうる、そのことが小林秀雄の恵みである。

しかし、近代の日本人は、エモーショナルな物に惹かれる自分自身を煩わしく思い、それを分析しただけで、「エモーショナルなものを我が身に備える」=「物のあはれを知る」ことを忘れてしまったのではないか。