biboudouのブログ

書籍・音源備忘録 最終的にはそれぞれに索引・クレジットまで作成予定

2012年 橋本治 『中央公論 2012.4』

シリーズ・人生後半戦「定年後の仕事」

「老人が働いて、日本は変わらざるをえない」

一部引用:

日本は、「効率第一で収益大の大企業」のことばかりを考えてはいられない。小規模経営という人達がいくらでもいて、この人達と共に生きて行くということを考えなければいけない。かつての「零細企業なんかつぶしたってかまわない。零細企業も大きくなれるんだから」という論理は過去のものになった。・・・「定年の延長」というのは、「日本の企業は相変わらず大きくなれるし、大きくなるのが当然だ」という、終わってしまった時代の考え方を背後に持っているのだ。

・・・「定年だから働かなくていい」などというのはとんでもない間違いで、人間は生きる限り働いている。

・・・「豊かになるべき人間が豊かになって、社会もまた豊かになる」というのは、かつての「みんなが豊かになって、そんなに働かなくてもすむようになる」という考え方の生き残った片半分で、格差社会を成り立たせる「富を独占する人達」は、かつてのあり方に従って、労働自体をどんどん減らしている。

・・・「老い」を認めた人間は、そこから改めて「自分の人生のよい時期の再構築」を考えなければならないのだ。

・・・世界がどこに進もうとも、日本の進まなければならない先は、かつてあった豊かさが見捨てた場所でしかないように思う。老いの向かうべき先も。